Roland P-6 › 操作と機能
MFX
P-6のMFXを「演奏中に変化を作る道具」として使うためのリファレンス。音色を完成させてから掛ける常設エフェクトではなく、切り替え・崩し・再サンプリングのきっかけとして考える。
まず全体をつかむ
P-6には20種類のMFXがあり、選んだ効果はCTRL1–CTRL3で調整する。さらに[SHIFT] + [CTRL1–CTRL3]で補助パラメータにアクセスできる効果もある。
トップパネルの5ボタンからは、次の効果をすぐON/OFFできる。
| ボタン | 効果 | 最初の用途 |
|---|---|---|
LOOPER |
DJFX Looper | 一瞬の繰り返し、停止感、ブレイク |
PITCH |
Chromatic PS | オクターブ/5度の重ね、上昇感 |
DELAY |
Sync Delay | BPMに合う残響 |
FILTER |
Filter+Drive | ビルドアップ、低域を引く変化 |
SCATTER |
Scatter | リズムを崩すフィル、切り替え |
[MFX]を押しながらTEMPO/VALUEまたはステップボタンを使うと、ほかのMFXを呼び出せる。
まず守る3つのルール
- 1回に変えるノブは1つだけ。
CTRL1で音の方向を決め、次にCTRL2で強さを足す。 - 効果を切る位置を先に決める。 1小節、半小節、次の頭など、戻るタイミングを耳で決める。
- 良い事故は録る。 P-6のMFX操作をDigitaktへ録音しておけば、ライブ中の偶然を素材として再利用できる。
20種のMFX:役割別の選び方
すぐ展開を作る
| 効果 | 主なノブ | 何が起きるか | 出発点 |
|---|---|---|---|
| DJFX Looper | LENGTH / SPEED / LOOP SW |
短い断片をループし、逆再生や減速を行う | 短いLENGTH、SPEEDは正の中程度 |
| Chromatic PS | PITCH1 / PITCH2 / BALANCE |
2ボイスの半音単位ピッチシフト | 片方を+12、BALANCEは控えめ |
| Scatter | TYPE / DEPTH / SCATTER |
リズムを切り刻み、並べ替えたような変化 | DEPTHを低めから |
| Stopper | DEPTH / RATE / RESONANCE |
停止感やスローダウン系の変化 | DEPTHを小さく、1拍だけ使う |
DJFX Looperを使う
DJFX Looperは、入力音を0.230〜0.012秒の短い周期でループする。SPEEDは負で逆再生、0で停止、正で順再生になる。
ブレイクの基本
1. 小節の終わりでLOOPERをON
2. LENGTHを短くする
3. SPEEDを少し下げる、または負へ動かす
4. 次の小節頭でLOOPERをOFF
短すぎるLENGTHと高いSPEEDを同時に使うと音量感が急に変わりやすい。まずはキック以外のループで試す。
帯域と倍音を作り替える
| 効果 | 主なノブ | 何が起きるか | 出発点 |
|---|---|---|---|
| Filter+Drive | CUTOFF / RESONANCE / DRIVE |
フィルターと歪みで音を押し出す | CUTOFFを閉じ気味、Drive少量 |
| Isolator | LOW / MID / HIGH |
3帯域を個別に上下する | 低域だけを一時的に下げる |
| Resonator | ROOT / BRIGHT / FEEDBACK |
指定したルート感のある共鳴を加える | FEEDBACKを低め、Rootを曲の基音へ |
| Super Filter | CUTOFF / RESONANCE / FLT TYPE |
より積極的なフィルター変化 | Cutoffをゆっくり動かす |
Filter+Driveの基本
Filter+Driveは、ビルドアップで最も扱いやすい。CUTOFFを閉じた位置から上げ、最後にDRIVEを少し加える。急に歪ませるより、Cutoff → Resonance → Driveの順で動かすと破綻しにくい。
Isolatorの使い方
低域を一時的に下げてキックとベースを引かせ、次の頭で戻すだけでも展開になる。3ノブを同時に動かすより、まずLOWだけを使う。
質感を壊す・古くする
| 効果 | 主なノブ | 何が起きるか | 出発点 |
|---|---|---|---|
| Vinyl Sim | FREQUENCY / NOISE / WOW FLUT |
レコード風の帯域・ノイズ・揺れ | NOISEとWOW FLUTを少量 |
| Cassette Sim | TONE / HISS / AGE |
テープ風の色付け | AGEを小〜中、HISS少量 |
| Lo-fi | PRE FILT / LOFI TYPE / TONE |
解像度や質感を粗くする | Balance低めから混ぜる |
| Crusher | FILTER / RATE / BALANCE |
ビットクラッシュ系の粗さ | BALANCEを低めから |
| Ring Mod | FREQUENCY / SENS / BALANCE |
金属感・不協和な倍音 | Balanceを極小から |
質感系は常時100%にせず、BALANCEやLEVELで原音を残す。P-6らしい質感をDigitaktへ持ち込むなら、効果を掛けた1〜2小節を録音して素材化する。
空間と揺れを足す
| 効果 | 主なノブ | 何が起きるか | 出発点 |
|---|---|---|---|
| Sync Delay | TIME / FEEDBACK / LEVEL |
BPM同期の反復 | 1/8、Feedback低〜中、Level少量 |
| Reverb | TYPE / TIME / LEVEL |
残響と奥行き | Time中、Level少量 |
| Chorus | DEPTH / RATE / BALANCE |
厚みと広がり | Depth小、Balance少量 |
| Flanger | DEPTH / RATE / MANUAL |
ジェット感・うねり | Depth小、Rate遅め |
| Phaser | DEPTH / RATE / MANUAL |
位相のうねり | Depth小、Rate遅め |
| Tremolo/Pan | DEPTH / RATE / TYPE |
音量または定位の周期変化 | Depth小、テンポ同期を使う |
Sync DelayをDigitaktとそろえる
Sync DelayはTIMEを音符単位で選べる。三連はt、付点はdで表示される。
安定した始点:TIME 1/8、FEEDBACK 低〜中、LEVEL 少量
展開の始点 :TIME 1/4d または 1/8t、FEEDBACKを少し上げる
P-6をDigitaktのMIDI Clockに追従させていれば、Sync Delayも同じテンポで動く。低域が残りすぎる場合は[SHIFT] + [CTRL1]のL DAMP Fを上げ、反復の低域を減らす。
仕上げに使う
| 効果 | 主なノブ | 何が起きるか | 出発点 |
|---|---|---|---|
| Compressor | SUSTAIN / ATTACK / RATIO |
音量のまとまり、持続感 | RATIO低め、SUSTAIN控えめ |
Compressorは音量を上げる道具としてではなく、音のばらつきをまとめる用途から始める。効かせすぎると、ブレイクで作った音量差も小さくなる。
ライブでの4つの定番フロー
1. フィルターでビルドアップして戻す
Filter+Drive ON
→ CUTOFFを閉じる
→ 1〜2小節でCUTOFFを開く
→ 最後にDRIVEを少量
→ 小節頭でMFX OFF
2. Looperでブレイクを作り、Digitaktへ録る
LOOPER ON → LENGTHを短く → SPEEDを変える → DigitaktでIN L+Rを録音 → LOOPER OFF
録った音をDigitaktのオーディオトラックへ置けば、P-6のMFX操作をあとからパラメータロックで組み替えられる。
3. Delayをフィルにだけ残す
Sync Delay ON
→ フィル直前のPadだけ鳴らす
→ FEEDBACKを少し上げる
→ 次の小節頭でDELAY OFF
原音を止めて反復音だけを残すと、曲の区切りが作りやすい。
4. Isolatorで低域を引く
Isolatorを選ぶ → LOWを下げる → 上物だけを1小節残す → LOWを戻す
ドラムとベースを同時に消すより、低域だけを引くほうが、戻したときの復帰感を作りやすい。
保存と再現性
MFXの種類とパラメータは、[SHIFT] + [TIE] (WRITE)からEFCtを選んで保存する。保存しないまま電源を切ると、エフェクト・パラメータは最後の保存状態へ戻る。
ライブ中の一時的な動きは、P-6で再現しようとせずDigitaktへ録音して残す方法も有効。次回同じ展開が必要なら、録音素材をDigitakt側で再生する。
困ったときの確認
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| 効果が目立たない | BALANCE/LEVEL、またはMFXのON状態を確認する。 |
| Delayが濁る | FEEDBACKを下げ、Low Dampingで低域を減らす。 |
| Filterで音が細くなりすぎる | Cutoffを少し戻し、ResonanceとDriveを下げる。 |
| Looperで音が急に止まる | SPEEDが0になっていないか確認する。 |
| 電源を入れ直すと効果が戻る | WRITEからEFCtを保存する。 |
関連
- 出力バスとEFFECT GRAB
- 内部リサンプリング
- 保存と書き出し
- P-6をDigitaktから鳴らして再サンプリングする
- 09 サンプル録音
- P-6の操作と機能