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LFOとVirtual Patch
初代microKORG(2002)のSynthプログラム専用。Virtual Patchは、音を周期的・演奏的・時間的に変化させるための変調ルーティングである。
まず全体をつかむ
LFO 1/2は周期的な揺れを作る。ゆっくりなら揺らぎ、速くするとビブラートやワウになる。LFOは一定の揺れ、Virtual Patchは「何が・どこを・どれだけ動かすか」の割り当て。
Virtual Patchは、最大4本の経路を作れる。
SOURCE(何で動かすか) → DEST(何を動かすか) → MOD INT(どれだけ動かすか)
たとえば、LFO 2 → CutOff → 少量なら、明るさが規則的に上下するオートワウになる。MOD.Wheel → CutOff → 中程度なら、モジュレーションホイールを押している間だけ明るくなる。
Synthプログラムの信号はOSC → FILTER → AMPの順で進む。Virtual Patchは、その途中のPitch、OSC1、Noise、Cutoff、Amp、Pan、LFO2速度へ変化を加える。
設定手順
- Synthプログラムを選ぶ。VocoderプログラムではVirtual Patch 1–4は使えない。
EDIT SELECTでPATCH 1、PATCH 2、PATCH 3、PATCH 4のいずれかを選ぶ。- ノブ1で
SOURCE、ノブ2でDEST、ノブ3でMOD INTを設定する。 MOD INTは0から少しずつ上げ、変化が大きすぎたら戻す。負の値は変化の向きを反転する。LAYERプログラムでは、先にTIMBRE SELECTで編集するティンバーを選ぶ。Virtual Patchはティンバーごとの音作りとして考える。- 良い状態になったら
WRITEでプログラムを保存する。
狙い別の早見表
| 狙い | SOURCE | DEST | 最初の深さ |
|---|---|---|---|
| ビブラート | LFO 1 |
Pitch | ごく小さく |
| オートワウ | LFO 1 |
Cutoff | 小〜中 |
| トレモロ | LFO 1 |
Amp | 小さく |
| 演奏で明るくする | MOD.Wheel |
Cutoff | 中程度 |
| モジュレーションで速く揺らす | MOD.Wheel |
LFO2 Frequency | 小さく |
| 強く弾くほど大きくする | Velocity | Amp | 中程度 |
最初はPatchを1本だけ作る。揺れが足りないときは深さより先にLFO速度を調整する。複数のPatchを足すのは、1本の役割が聴き分けられてからにする。
変調元:SOURCE
| SOURCE | 何が変化を作るか | 向く用途 |
|---|---|---|
FILTER EG |
フィルターのエンベロープ | 音の立ち上がりに合わせたピッチ/パン変化 |
AMP EG |
音量のエンベロープ | 音量変化と連動するノイズやピッチ変化 |
LFO 1 |
周期的な揺れ | ビブラート、トレモロ、オートワウ |
LFO 2 |
2本目の周期的な揺れ | LFO1と異なる速度・波形の変化 |
Velocity |
鍵盤を弾く強さ | 強く弾いたときだけ明るい/大きい音 |
KBD Track |
演奏音程 | 高音ほど明るい、左右に広がるパン |
Pitch Bend |
ピッチホイール | 演奏でパンなどを動かす特殊な表現 |
MOD.Wheel |
モジュレーションホイール/CC#1 | 手動またはDigitaktからの段階的変化 |
変調先:DEST
| DEST | 変わるもの | 聴こえ方 |
|---|---|---|
Pitch |
ティンバー全体の音程 | ビブラート、サイレン、ドリフト |
OSC2 Tune |
OSC2だけのピッチ | デチューンの揺れ、金属感 |
OSC1 Control 1 |
OSC1の波形固有パラメータ | PWM、Vox Wave、Noise以外の波形変化など |
Noise Level |
MIXER内のノイズ量 | アタック、息づかい、風のような質感 |
CutOff |
フィルター・カットオフ | 明るさ、ワウ、開閉感 |
Amp |
アンプ・レベル | トレモロ、ゲート感 |
Pan |
左右定位 | オートパン、鍵盤位置による広がり |
LFO2 Frequency |
LFO2の速度 | モジュレーションホイールで揺れを加速 |
LFO2 Frequencyは、LFO2のTEMPO SYNCがONのときには効かない。テンポ同期したLFOの細かさは、SYNC NOTEで調整する。
最初に試す7つのパッチ
1. 自然なビブラート
SOURCE : LFO 1
DEST : Pitch
MOD INT : ごく小さく
LFO : TriangleまたはSine、遅〜中速
揺れが音痴に聴こえる場合は、最初にMOD INTを下げる。速度を上げるのは深さを決めてから。
2. 同期オートワウ
SOURCE : LFO 2
DEST : CutOff
MOD INT : 小〜中
LFO 2 : TEMPO SYNC ON、1/8または1/16
Digitaktをクロックの親にすると、フィルターの開閉がパターンへ揃う。Sawなら上昇感、Squareならはっきりしたゲート感、Sample & Holdならランダム感が出る。
3. トレモロ
SOURCE : LFO 1
DEST : Amp
MOD INT : 小さく
LFO : SineまたはTriangle
深くしすぎると音が途切れる。まずは「揺れている」と分かる最小量から始める。
4. 演奏で開くフィルター
SOURCE : MOD.Wheel
DEST : CutOff
MOD INT : 中程度
鍵盤ではMODホイール、DigitaktではCC#1で同じ変化を作れる。ライブ中に、閉じた音から明るい音へ移るための最も使いやすい割り当て。
5. 強く弾くほど明るい音
SOURCE : Velocity
DEST : CutOff
MOD INT : 小〜中
VelocityをAmpへ送ると音量、Cutoffへ送ると明るさを演奏の強さで変えられる。DigitaktのMIDIトラックではステップごとのVELを変えることで、この表情を作れる。
6. ノイズのアタックを足す
SOURCE : AMP EG
DEST : Noise Level
MOD INT : 小〜中
AMP EG : Attack短め、Decay短め
ベースやプラックの発音直後だけにノイズを足し、ピック、息、パーカッシブな輪郭を作る。常時ノイズが聞こえる場合は、MIXERの基礎Noise Levelを下げる。
7. モジュレーションホイールで揺れを加速する
SOURCE : MOD.Wheel
DEST : LFO2 Frequency
MOD INT : 小さく
LFO 2 : TEMPO SYNC OFF
ホイールを上げるにつれてビブラートやワウを速くする。テンポ同期を使う場合は、この代わりにSYNC NOTEを切り替える。
Digitaktと使う:CC#1をパラメータロックする
Virtual Patch自体はmicroKORG内であらかじめ作る。Digitaktでは、MOD.Wheel → CutOffのようにSOURCEをMOD.Wheelへ設定したパッチを、CC#1で演奏するのが分かりやすい。
- microKORGの
PATCH 1でSOURCE: MOD.Wheel、DEST: CutOff、MOD INTを中程度に設定してWRITEする。 - microKORGでMIDI Control Changeの送受信が有効か確認する。
[SHIFT] + [PROGRAM NUMBER 4]のMIDI Filterで、Control ChangeをEnableにする。 - Digitaktの対象MIDIトラックで、CCスロットに
CC#1を割り当てる。 - ステップを押しながらCC#1の値を変え、明るさを変えたいステップにパラメータロックする。
Step : 01 02 03 04 05 06 07 08 CC#1 : 00 00 24 48 72 96 48 16
この方法なら、同じノートでもステップごとに音色を開閉できる。Pitch BendをSOURCEにした場合は、DigitaktのPBパラメータで同様に演奏できる。
NRPNについて
microKORGはVirtual Patch 1–4のSOURCEとDESTをNRPNでも受信できる。これはパッチの構成そのものを外部から変える用途で、通常のDigitakt MIDIトラックのCCスロットではなく、NRPNを送れる機器/ソフトウェア向け。Digitaktとの制作では、まずCC#1やPitch BendをSOURCEにする方法が実用的。
迷ったときの確認
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| まったく変化しない | MOD INTが0ではないか、SOURCEが実際に動いているかを確認する。 |
| LFO2速度が変わらない | LFO2のTEMPO SYNCがONではないか確認する。 |
| DigitaktのCC#1が効かない | PatchのSOURCEがMOD.Wheelか、microKORGのControl Change受信がEnableかを確認する。 |
| 音が大きく揺れすぎる | 先にMOD INTを下げ、次にLFO速度を調整する。 |
| Layerで片方しか変わらない | 編集しているティンバーをTIMBRE SELECTで確認する。 |
関連
- 音作りの流れ
- FILTERとFILTER EG
- ステップ5:LFOとVirtual PatchでMODホイールの揺れを足す
- Virtual Patchコース — PATCH 1〜4を1本ずつ足して、SOURCEの種類を聴き分ける
- microKORGをDigitaktから動くスタブとして鳴らす
- 10 MIDIトラック
- 03 パラメータロック
- microKORGの操作と機能